
夫が10年以上勤めた会社から転職することになり、ドイツ国内で引っ越しをすることになりました。ドイツの中でも北部に位置するハンブルグ郊外から、南部のミュンヘンへ。高速電車のICEで7時間、車で10時間ほどかかる長距離引っ越しとなりました。引っ越しに伴う費用は新しい会社から補助が出ることになっていましたが、住む家は自分たちで探さなければいけません。ミュンヘンは、私はもちろん夫も全く土地勘のない場所。ドイツは都心であっても、緑が多く、東京のように混み合っているわけではありませんが、できれば近郊の小さな街に住めるといいなと思っていました。
ドイツで部屋探しをする場合、日本のように不動産屋へ出向いて探してもらうのではなく、基本的には個人がリスティングしているWebサイトで探し、直接大家さんとやりとりすることが一般的です。有名な賃貸情報サイトは、Immobilien Sbout 24 と immoweltで、大家さんが自身(もしくは仲介業者)が公開している物件に、内見の申し込みをすることから始まります。サイトの使い方は日本の賃貸物件を探す時と同じような要領で、住居タイプやエリア、広さ、バルコニー、駐車場など、さまざまな条件を設定して探すことができます。携帯用アプリもあるので、ダウンロードすると隙間時間などにもチェックしやすく助かります。
私たちはエリアの知識も全くなかったので、まずはFacebookの日本人コミュニティーでミュンヘン近郊で住みやすい街などを質問してみることに。ありがたいことに、たくさんの回答をいただけたので、夫の新たな勤務地と照らし合わせていくつかの街を候補に絞りました。そして実際に街の雰囲気や地域の不動産情報を集めるため、私が一人でミュンヘンに出向き、沿線をまわって歩き、街の雰囲気や便利さなどを確認することにしました。
正直言ってミュンヘンの中心部はかなりコンパクトで、電車で少し離れれればのんびりした穏やかな地域がほとんどです。地図をみて、住居が多そうな駅には降りて歩いて確認し、いくつか住みたい街をピックアップしてハンブルグに戻りました。この実際に訪れた理由には、最初に探し始めた段階であまり物件がリスティングされておらず、街の情報板などに賃貸情報が出ていないかを確認する目的もありました。私たちが住んでいた街の中心部ではまれに、賃貸の情報が貼り出されてあったりしたので、私たちもそういった情報が得られないかなとも思ったのです。しかしその面では収穫はゼロ。正直ちょっとした旅行気分で、最終的にはミュンヘン観光をして帰りました。
戻ってからはひたすらリスティングされている物件に内見依頼を申し込む毎日。ドイツでは、元々の契約書内容にもよりますが、住んでいた年数などにも比例して、退去連絡を入れた後に引き続き何ヶ月の家賃を支払う必要があるのかが決まります。(日本でも、一ヶ月前とかありますよね。)私たちの場合は3ヶ月で、概ねのケースが3ヶ月前の退去連絡だと思われます。ただし、退去予定日のすぐ後から入居できる人、つまり次に部屋を借りる人を自分で探すことができ、大家さんが入居の許可を出せば、住まない分の家賃は支払わなくてもいいケースがあるそうです。
ちなみにドイツにおける内見申し込みでは、IDや数ヶ月分の所得証明、過去に犯罪の履歴がないことを証明する書類など、さまざまな個人情報の提供を求められます。内見申し込みの時点でどの書類が必要かは、リスティングに示されていることがほとんどです。賃貸取引が個人間で行われることはもちろんあるかと思いますが、ドイツでは圧倒的に大家さんが強いことも影響していると思います。住みたい人の方が、貸したい人よりも多いのです。これはドイツ全土で言われていることで、儒教と供給のバランスが取れておらず、不動産の高騰にも繋がっています。また長く同じ部屋に住む人も多く、住居者の権利も保証されているため、一度入居したらよっぽどのことがない限り、一方的に解約することなどはできないそうです。さらに、一件の物件に対して100件を超える内見申し込みがあることも多く、大家さんとしても、内見を許可する基準がある程度必要なんだと思います。私としてはパスポートのコピーなどをメールでやりとりすることはもちろん、所得証明なんて実際に契約の段階でしか見せたくないと思うのですが、国が違えば事情も違うので、やむを得ずさまざまな書類を添付して内見の申し込みを行いました。また、日本との違いと言えば、自分たちで履歴書のような自己紹介の書類をつけることにも驚きました。家族構成や仕事の経歴、休日の過ごし方など、仕事の面接かよ、というくらい情報を詰め込みます。こういった書類はもちろん全てドイツ語で準備しなければならず、フォーマットなどもどうしていいのかわかりませんでした。しかし、Immo Sbout24 は、月額30 €払うと必要書類の雛形を使って書類の作成ができ、物件に対して何人の申し込みがあっているのか、全体の中での入居の可能性などをデータ化したものをみることができるようになります。私たちは、最初は無料のまま使用していましたが、なかなか内見の案内がこないこともあり、有料プランに切り替えて家探しを行うことにしました。
住居探しを本格的に開始してから、立て続けに内見の案内が返ってきたため、夫が一人でミュンヘンに向かうことになりました。内見の申し込み時には、添付していた書類は全てプリントアウトし、内見の時に大家さんに手渡します。最初5件の内見先が決まったため、予定では1週間ほど滞在することに。しかし、実際に足を運んでみると、駅から遠すぎたり、周りに必要最低限のお店がなかったり、写真よりもかなり部屋が小さく感じたり、となかなか自分たちが住みたいと思える場所が見つかりませんでした。結局1度目の滞在では、7件近く内見し、3件に住みたいむねを伝えましたが、今度は大家さんから選ばれず、夫は一度ハンブルグに戻ってくることに。この時点で40件以上の内見申し込みを行っており、次第に気持ちが焦り出します。
夫は、部屋数を少なくするか、占有面積を狭くするか妥協しようと言い出しました。しかし、私は諦めたくありません。日本でも一年起き近くで引っ越しが続いていて、さらに海外移住。正直、引っ越しは懲り懲りという気持ちがありました。とりあえずで、狭くて気に入らないところに住んで、様子をみて後から部屋探しをするのではなく、数年は住む予定で住処を決めたかったのです。その後もひたすら申し込みを行う毎日。結局、80件近くは内見の申し込みをし、夫は再度ミュンヘンで内見。3件ほどここに住めたらいいなという物件がありましたが、大家さんから選ばれず、夫の滞在は伸びに伸びて、ようやくここがいい!と思える物件に出会えました。
私が探して内見申し込みを行ったのですが、レスポンスも早く、その物件の内見をしたのは夫が初めてだったようです。内見では、大家さんではなく仲介業者の方の立ち会いだったそうで、すぐに住みたい旨を伝え、大家さんに連絡を取ってもらうことにしました。ただし、私たち意外にも内見の予定があったとのことで、その人たちもキャンセルの連絡を入れずに、大家さんが選ぶと言われました。不安なまま数日過ごしましたがようやく大家さんの了解の連絡が入り、晴れて住む場所が見つかったのです。
部屋探しを初めてから決まるまで、おおよそ3ヶ月近くかかりました。何度も心が折れそうになり、何度も諦めかけましたが、ギリギリ決まったので本当によかったです。実際に部屋探しをしてみて、当初は私たち夫婦はどちらもドイツ人ではないため、敬遠されているのかなと思いました。予測でしかありませんが、実際はドイツ人かどうかは、安定した収入があり、ある程度ドイツ語でコミュニケーションが取れれば問題ないようで、実際はスピード感なのだと思います。つまり、数多くの内見申し込みがある中で、どれだけ早く内見し、住みたいと伝えられるかが鍵。つまりは運とも言えます。
早いもの勝ちとは言えませんが、今後部屋探しを予定している人は、とにかく小まめにリスティングをチェックし、住みたい物件には一早く申し込みをし、もし内見案内があれば先方の都合を受け入れて、できるだけ早い段階で訪問することが吉だと言えます。諦めずに頑張ってくださいね。
