ドイツ南部にあるバイエルン州の州都・ミュンヘンは、美しい建築と文化、そしてビールで知られる人気の観光地。日本からミュンヘンを目掛けて、観光に訪れる方も多いでしょう。ミュンヘン周辺には、日帰りで訪れることができる魅力的な町や都市もたくさんあります。今回は、ミュンヘンから日帰り可能なおすすめの都市を、簡単な歴史や見どころとともにご紹介します!

1. Füssen:フュッセン
- 距離:ミュンヘンから約120km
- 所要時間:電車とバスで約2時間
- アクセス:ミュンヘン中央駅から電車でフュッセン駅へ(約2時間)
ロマンチック街道の終着点、夢のような城を訪ねて:
フュッセンは、古代ローマ時代の軍道「ヴィア・クラウディア・アウグスタ」の終着点として栄え、やがて中世には修道院と手工業の町として発展しました。特にリュート(撥弦楽器)の製造地として知られ、16世紀にはヨーロッパ中から楽器職人が集まりました。

アルプスの山々に囲まれ、自然と中世の建築が調和した絵のような景観が特徴。城壁、塔、木組みの家々が点在し、静かな旧市街を歩くと、まるで童話の世界に迷い込んだような気分になります。また、ミュンヘン近郊において、日本人に特に人気の観光スポット、ノイシュヴァンシュタイン城へ行くにもこの街からが便利。ノイシュヴァンシュタイン城は、「眠れる森の美女の城」のモデルとも言われる、ルートヴィヒ2世によって19世紀に建てられた城で、中世風の外観ですが、実際には比較的新しい建造物です。
人気スポット:
- ノイシュヴァンシュタイン城(事前予約がおすすめ)
- マリエン橋(絶景ポイント)
- 聖マング修道院(Kloster St. Mang)
- フュッセン旧市街
名物グルメ:カイザーシュマーレン(Kaiserschmarrn)
→ ふわふわに焼いたパンケーキを細かくちぎって、粉砂糖やベリーソースでいただく甘い一品。アルプス地方で人気のデザート。山を眺めながらの休憩にぴったり!
2. Salzburg:ザルツブルク(オーストリア)
- 距離:ミュンヘンから約145km
- 所要時間:電車で約1時間30分〜2時間
- アクセス:ミュンヘン中央駅から直通列車でザルツブルク駅へ
モーツァルトとバロックの都、音楽と庭園の街:
ドイツから国境を越えた、オーストリアの山間都市・ザルツブルクは、「塩の城」という名の通り、中世から近世にかけて塩の交易で繁栄した都市です。大司教領として独立した政治・宗教・文化の中心地であり、その影響で非常に格式高い建築様式と整然とした都市設計がなされています。
ザルツブルクではイタリア的な優美なバロック様式が多く、彫刻や装飾が繊細。ドイツ(バイエルン)の都市に多いゴシックやロマネスクの重厚な様式と対照的。ドイツの旧市街が「中世の力強さ」を感じさせるのに対し、ザルツブルクは「貴族的で優美な曲線美」と言った趣です。石造りでも柔らかく、音楽都市ならではの優雅さと洗練された雰囲気が漂います。
また、ここはモーツァルトの故郷。街中に音楽が溢れ、通りの名やお土産、広場、チョコレートに至るまで彼の存在が息づいています。1996年にはユネスコ世界遺産に登録されました。

人気スポット:
- ホーエンザルツブルク城(山の上にそびえる要塞)
- ゲトライデガッセ(ショッピングストリート):モーツァルトの生家がある旧市街のメインストリート。狭い通りにアイアン看板が連なり、店舗やブティック、カフェがずらり。
- モーツァルトの生家
- ミラベル宮殿と庭園(映画『サウンド・オブ・ミュージック』のロケ地)
名物グルメ:モーツァルトクーゲル(Mozartkugel)
→ ザルツブルク発祥のチョコレート菓子で、ピスタチオ・マジパン・ヌガーをチョコでコーティング。お土産にも◎。本場で食べるなら「Fürst(フュルスト)」の手作り版がおすすめ。
3. Regensburg:レーゲンスブルク
- 距離:ミュンヘンから約130km
- 所要時間:電車で約1時間30分
- アクセス:ミュンヘン中央駅から直通列車あり
ドナウの古都、ローマと中世が交差する世界遺産の町:
ドナウ川沿いに広がるレーゲンスブルクは、ローマ時代から続く歴史ある都市で、中世の旧市街はユネスコ世界遺産に登録されています。ドイツで最も保存状態の良い中世都市の一つで、紀元前からローマ軍の要塞が築かれており、その後中世には商業都市として大いに栄えました。特に12〜14世紀にはドナウ川の交通の要衝として、東西交易の拠点になったといいます。

2006年には旧市街がユネスコの世界遺産に登録され、ドイツでも数少ない「戦災を免れた都市」として、オリジナルの石造建築やゴシック建築が現存しています。
また、レーゲンスブルク中心部から東へ約10km(バスまたは車で20分ほど)のドナウ川沿いに位置するヴァルハラ神殿(Walhalla)は、ドナウとバイエルンの大地を一望できる、まさに精神的ランドマーク。ルートヴィヒ1世(ルートヴィヒ2世の祖父)が、ドイツ文化の偉人たちを祀るために19世紀に建設した新古典主義の神殿建築で、内部にはゲーテやバッハ、カント、ベートーヴェンなどの胸像がずらり。ドイツ人にとっても重要なスポットと言われています。
人気スポット:
- 石橋(Steinerne Brücke):12世紀に架けられた石橋。かつて十字軍も渡ったという歴史を持つ、ドイツ最古の石造りアーチ橋。
- 大聖堂(Regensburger Dom):ゴシック様式の傑作。
- 旧市庁舎とその博物館
- 世界最古のソーセージ屋「Historische Wurstkuchl」
4. Nürnberg:ニュルンベルク
- 距離:ミュンヘンから約170km
- 所要時間:ICEで約1時間
- アクセス:ミュンヘン中央駅から高速列車ICEで直通
帝国都市の栄光と悲劇、中世の城と芸術に出会う:
中世には神聖ローマ帝国の重要都市として栄えたフランケン地方最大の都市。神聖ローマ帝国の帝国都市として発展し、14〜16世紀にはドイツ最大の都市のひとつでした。
政治、宗教、芸術、科学、そして商業の中心地で、アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)などの芸術家を輩出した文化都市でもあります。アルブレヒト・デューラーの有名な自画像は、ミュンヘンの美術館に収蔵されているので合わせてどうぞ。
また、20世紀にはナチス党大会の開催地として知られ、戦後にはニュルンベルク裁判が行われた歴史的舞台でもあります。第二次世界大戦で旧市街の多くが破壊されましたが、その後中世の街並みを忠実に再建されました。また、クリスマスマーケットも有名で、ドイツ南部では最大規模を誇ります。

人気スポット:
- ニュルンベルク城
- アルトシュタット(旧市街)の城壁
- ドイツ国立博物館
- クリスマスマーケット(冬季)
名物グルメ:ニュルンベルガー・ロストブラートヴルスト(Nürnberger Rostbratwürstchen)
→ 手のひらサイズの細長いソーセージ。1皿6本、9本で提供されることも。炭火で香ばしく焼かれ、地元ビールとの相性抜群。Bratwursthäusle(聖ゼーバルトゥス教会の近く)などが有名です。
5. Augsburg:アウクスブルク
- 距離:ミュンヘンから約80km
- 所要時間:電車で約40〜50分
- アクセス:ミュンヘン中央駅から直通列車あり
水の都を歩く、ルネサンスとバロックの優美な風景:
アウクスブルクは、ローマ時代の紀元前15年に建設されたドイツ最古級の都市の一つで、「アウグストゥス皇帝」にちなんで名付けられました。その後中世からルネサンス・バロック期にかけては、特に富豪フッガー家のもと、ヨーロッパ屈指の商業都市として繁栄しました。

今もその豊かな歴史の面影を残しながら、華やかな建築と落ち着いた街並みが融合する、エレガントな街です。アウクスブルクは「水管理システム」がユネスコ世界遺産にも登録された「水の都」。旧市街には運河や水路が張り巡らされ、所々に美しい噴水が出現しています。特にヘラクレスの噴水(Herkulesbrunnen)やアウグストゥスの噴水(Augustusbrunnen)など、ルネサンス期の彫刻と融合した広場空間はフォトジェニックなので街歩きの楽しみにも。中央駅から「Bahnhofstraße(駅前通り)」をまっすぐ進む旧市街への道は、近代的な建物から歴史的なエリアへと、少しずつ街の顔が変わっていく様子が味わえます。
人気スポット:
- フッゲライ:フッガー家によって建てられた世界最古の社会福祉住宅街(1521年〜)で、現在も実際に利用されています。
- 市庁舎と金の間(Goldener Saal):ルネサンス様式の傑作で、内部の「金の間(Goldener Saal)」は必見。
- 聖ウルリヒ&アフラ教会(St. Ulrich und Afra):ゴシック様式のカトリックとプロテスタント教会が隣り合う珍しい建築群。
- ホルブレヒャーハウス(ルネサンス建築の傑作)
名物グルメ:シュトゥーデル(Apfelstrudel)
→ アウクスブルクで有名というわけではありませんが、素敵なカフェも多いのでカフェでクラシックなりんごのシュトゥーデルをいただいてみては。美しい旧市街のカフェで温かいシュトゥーデルとコーヒーをどうぞ。
6. Ulm:ウルム
- 距離:ミュンヘンから約150km
- 所要時間:電車で約1時間15分〜1時間30分
- アクセス:ミュンヘン中央駅から直通のREまたはICEでウルム中央駅へ
世界一高い教会塔の街、ドナウのほとりで静けさに包まれる:
ウルムは中世に自由都市として発展し、ドナウ川沿いに栄えた歴史ある街です。世界で最も高い教会の塔を持つ「ウルム大聖堂」が最大の目玉。物理学者アルベルト・アインシュタインの生誕地としても知られています。川と小運河に囲まれた中世の旧市街エリア・フィッシャー地区(Fischerviertel)は、木組みの家々や石畳の細い路地が続く、絵本のような景観が魅力。特に「傾いた家(Schiefes Haus)」は有名で、かつて世界一傾いたホテルとしてギネス認定された建物です。カフェやギャラリー、小さな博物館もあるので、のんびり散策してみては。

人気スポット:
- ウルム大聖堂(Ulmer Münster):高さ161.5mの塔は世界最高の教会塔。登頂可能(768段)。
- フィッシャー地区(Fischerviertel):中世の趣が残る水路と木組みの家並み
- アインシュタイン記念碑(Einstein Fountain):独特なモニュメント
名物グルメ:シュペッツレ(Spätzle)→南ドイツ(シュヴァーベン地方)発祥の卵入り手打ちパスタ。旧市街の小さなガストホフ(居酒屋)で、ローカルな味を楽しんでみてください。ウルムでは特に「ケーゼシュペッツレ(チーズ入り)」が人気で、玉ねぎのフライをトッピングした濃厚な一皿はビールにもピッタリです。
7. Ingolstadt:インゴルシュタット
- 距離:ミュンヘンから約80km
- 所要時間:電車で約40〜60分
- アクセス:ミュンヘン中央駅からREまたはICEでインゴルシュタット中央駅へ
ビール純粋令の地で、アウディと芸術を体験する:

インゴルシュタットは15世紀にバイエルン最初の大学が設立された学問の街であり、また、ビール純粋令(Reinheitsgebot)が制定された場所としても有名です。旧市街は、14世紀からの城壁と塔に囲まれたコンパクトなエリアで、ゴシックからバロックにかけての建築が立ち並んでいます。観光の中心地はほぼ徒歩で周れるため、のんびりとした街歩きにピッタリ。アウディの本社がある工業都市でもあり、文化とテクノロジーが融合する街です。また、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』で、怪物が生まれた地がこのインゴルシュタットと言われています。
人気スポット:
- アウディ・ミュージアム(Audi Forum)
- 旧市街の城壁と防御塔(クロイツ門など)
- ドイツ軍事博物館(Bayerisches Armeemuseum)
- アザム教会(Maria de Victoria 教会):ヨハン・バプティスト・アザム(弟)が主に手がけた教会で、天井のフレスコ画はバロック芸術の最高傑作とも称されます。遠近法を駆使した天井画は、まさに「だまし絵」の極み。兄コスマス・ダミアン・アザムも装飾面で関わっていた可能性があります。
名物グルメ:シュヴァイネブラーテン(Schweinebraten)
→ 香ばしく焼いた豚のローストに、クヌーデル(ジャガイモ団子)と濃厚グレービーソースをかけたバイエルン名物。地元ビールと合わせると最高の一皿。
