St. Johannes Nepomuk (Asamkirche)「アサム教会」

ミュンヘンのダウンタウン、オールドタウンと呼ばれる地域には、たくさんの教会が点在しています。これまで、ランドマークとしても親しまれている「フラウエン教会」や、市庁舎のそばにある「聖ピーター教会」などをご紹介してきました。今日は、数ある教会の中でも、特に私が好きな教会をご紹介したいと思います。教会の正式名称は、「聖ヨハン・ネポムク教会」。ミュンヘンのみならず南ドイツの後期バロック建築において、最も重要な建築物の一つと言われています。

場所は、マリエンプラッツからゼンドリンガー方面に徒歩6分。有名ブランド店や地元の人気店が立ち並ぶショッピングストリート沿いにあります。マリエンプラッツを背にして、ゼンドリンガー通りの右手にありますが、建物が周囲と独立していないため、一見では教会とは思わないかもしれません。ただし、ファサードはバロック様式で、美しい彫刻が施され、大きな扉があるので見過ごすことはないでしょう。

この教会の設立は、1733年から1746年にかけて。以前ご紹介した「Kloster Fürstenfeld」でインテリアを担当していた、バロック建築の巨匠・アサム兄弟が、「神のより大きな栄光と自らの救済のため」に個人で建てたと言われています。当時、隣の住居に住んでいた兄弟は、とても小さな土地を礼拝堂のために選び、自分の家から窓越しに主祭壇が見えるように設計したのです。個人的に建てられた礼拝堂でしたが、地元住民から強い要望が寄せられ、兄弟は一般公開に踏み切ります。寓意画が描かれた7つの告解室が、この教会が告解式教会として設計されたことを物語っています。

幸運にも第二次世界大戦の被害は、聖歌隊部分のみで、1975年から1983年にかけて行われた内部修復により、元の姿を取り戻しました。その後は、主祭壇や天井のフレスコ画、聖母マリアの祭壇、三位一体の像なども修復され、当時の芸術的な輝きを取り戻したと言われています。

前室の彫刻。天井には太陽が訪れる人を見守っています

入り口からすぐ、前室の左右は狭いながら美しい漆喰や金色に塗られた彫刻で彩られ、一瞬でアサム兄弟の世界観に引き込まれることでしょう。大理石で彩られた教会堂は、3層で設計されており、全体的にかなり暗いです。特に一層の信徒席は暗く静寂に満ちています。2層目は、皇帝のために用意されたという白と青がコンセプト。3層目は、間接照明付きの天井画が施されています。この天井画のタイトルは「聖ネポムクの生涯」であり、アサム兄弟の兄、コスマス・ダミアンの代表作と言われている作品です。聖ネポムクとは、ローマ・カトリック教会の聖人の一人で、チェコ・プラハで大司教を勤めた実在の人物。頭の周りに五つの星を背負い、手にはシュロの葉や十字架を持った姿でしばしば描かれるため、銅像などを目にしたことがある人もいらっしゃるかもしれません。

主祭壇は、4つの螺旋状の柱で縁取られ、前室からであってもその威厳と神聖さを讃えた姿を目に焼き付けることができるでしょう。写真では見ることができませんが、祭壇下部には聖ネポムクの聖遺物が保管されているそうです。これまでご紹介してきた教会に比べて非常に狭い空間であり、美術的価値が高い作品に彩られているにも関わらず、不思議と圧迫感は感じません。むしろ、その暗さもあってか、心の平穏が自然と訪れるような温かさを感じます。

教会内は照明も少なく、自然光も入らないため、かなり暗いです。できるだけ晴れの日、早い時間に訪れることをおすすめします。

Data

Kirche Asamkirche ( St. Jphannes Nepomuk)

Sendlinger Str.32 80331 München

Open 月曜〜日曜 9:00〜19:00 (金曜は13:00〜19:00)

※日曜日と祝日の午前10時からは、ミサが行われています。

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