
3日目は、兄夫婦とともに。昨日と同様の朝食を済ませ、まずはローカルマーケットを見にいきました。ローカルマーケットは、毎週日曜にモカニツァ乗り場近くで開催されているとのこと。クラフト製品の購入を希望していたこともあり、せっかくの機会なので行ってみることにしました。マーケット近くの路肩に車を停めると、広場近くの道沿いから既に出店が立ち並んでいます。宗教装飾を扱う店、手作りのお菓子やパン、山のように積まれた乳製品と、夫の実家周辺の市場とは違った雰囲気に、私はるんるん。早速、携帯で撮影を始めた私に、夫が注意を促してきました。私は常々、夫から無防備すぎると注意を受けるのですが、マーケットなどでは特にスリやひったくりに注意が必要だと言うことです。現地の人が言うことなので、私のように見るからにアジア人の風貌で、携帯片手にはしゃぎまくってる姿は、標的になりやすいとのこと。ルーマニアで特に気をつけた方が良いのは、ロマと呼ばれる人々だと言います。これは、差別にもつながりかねないことなので、慎重にお伝えしなければなりませんし、私自身かなり興味を持っているトピックなので、また別の記事でしっかりお伝えしたいと思います。夫はルーマニアで生まれ育っているため、自身の経験を含めて人を見る目は確かです。全てのロマを警戒するのではなく、風貌や歩き方、目つきで、特に危険な集団を嗅ぎ分けることができると言います。マーケットの入り口には、夫のセンサーに反応した集団がいたと言うことです。
カバンの口を閉じ、携帯をしっかりと両手で握り、広場に入りました。結果的に、マーケットは地元の人々の催しであったので、私が希望していたクラフト製品は見つけることができませんでした。唯一気になったのは、おばあさんが一人で切り盛りしていた民族衣装IE(イエ)のお店。例えば、内側がファーになっており、カラフルな刺繍が施されたレザーのベストは900€。おばあさんが3ヶ月の月日を注ぎ込んで作った美しいドレスは400€、とかなりのお値段。もちろん全て手作りではありますが、完全に予算オーバーなので、購入には至りませんでした。
市場では、野菜や果実はもちろん、衣類やカーテンなどの布製品、大きいものだと家具まで並んでいました。特に面白いなと思ったのは馬具製品。現代でも、馬を日常生活の輸送や農業に利用する人々が多いため、その馬用のアイテムを取り扱うお店も並んでいると言うわけです。目当てのものもみつけられてなかったので、早々とマーケットを後にしました。
続いて向かったのは、Mănăstirea Suceviţa(スチェヴィツァ修道院)です。また修道院かとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、似ていて異なる修道院を訪ねるのはとても楽しいものです。他の修道院に比べ、建築年が新しいこともあってか、世界遺産からは漏れているそうですが、それでも見応え十分。ブコヴィナ地方におけるフレスコ画が描かれた数ある修道院の中でも、特に美しいと言われているのだそうです。
他の修道院同様、高い防護壁が施されており、一般道から修道院の入り口まで短い歩道が整備されています。入り口から入ると、左手にお土産屋さんがあり、正面に教会堂。日曜のミサのためか、敷地内には大きなステージが設置されていました。以前記述した通り、ルーマニア正教の日曜ミサは、決められた時間内に訪れるのではなく、自分が好きな時に訪れ、祈りを捧げ、教会を後にすると言うスタイルであり、教会堂は狭いこともあって、神父の祈りが聞けるように、教会堂の外にステージが設けられていたのだと考えられます。
スチェヴィツァ修道院は、1581年に司教のゲオルゲ・モビラによって設立され、後にモルダヴィアの支配者であったイレミアにより拡張、巨大な城壁と砲塔が追加されました。優雅な尖塔が教会堂の頂上にそびえ、巨大なひさしは、1602年から1604年に地元の芸術家によって描かれた外側のフレスコ画を護っています。 スチェヴィツァ修道院のフレスコ画で特に有名なのは、教会堂の北側、入り口から正面に見える、はしごから楽園への壮大な描写です。整然と並んだ赤い翼の天使は、厳正で徳を積んだ人々をを天国へ誘います。罪人は、ニヤリと笑う悪魔によって地獄の混沌へと駆り立てらてしまうのです。ちなみに悪魔はトルコの服装に身を包んでおり、当時、ルーマニアの人々にとっていかにトルコが脅威であったかが壁画からも感じられます。南側の壁には、キリスト教の過去、現在、未来が象徴されたエッサイの木や、ルーマニア正教で描かれることは稀と言われる聖母戴冠が描かれています。 外壁を眺め教会堂で祈りを捧げた後は、お土産物店を物色。他の修道院同様、ポストカードや宗教用の装飾、イコンなどが並ぶ中に、石鹸や化粧品、アロマなど、修道女の方が手作りしたと思われる医薬品が並んでいたのも興味深かったです。購入はしませんでしたが、今度行くことがあればぜひ購入したいと思っています。
ちょうどお昼時だったので、兄夫妻がおすすめのレストラン「Popas Bucovina」でランチを取ることになりました。ホテルに併設されたレストランで駐車場も広く、たくさんの植物が植えられたとても素敵なレストランです。ここでは、私はシュニッツェル、夫は鶏肉のグリルにバジル風味のホワイトソースがかかったメニューをオーダー。デザートにパパナシもいただきました。
食後に訪れたのは、Marginea(マルジネア)と呼ばれる地域。真っ黒い陶器が有名で、道沿いにある工房兼ショップに立ち寄りました。日曜日だったため、工房に人はいませんでしたが、作業台なども見ることができました。マルジネアの特徴的な黒い陶器は、電気製のろくろで粘土を練り上げて成形するそうで、300年以上手作りで作られてきたのだとか。釉薬をかけずに素焼きにするため、大理石のような黒い肌をしています。素朴に見えて、モダンな風合いで私は水差しと花瓶、また別の地域の生産品ではありますが、スープ皿を購入しました。どれも300円程度と激安!もっと買いたかったのですが、我が家には入れることができないくらい陶器が溢れかえっているので、泣く泣く諦めました・・・。その後、工房兼ショップの反対側に、靴工場直営の靴屋さんがあったので、少し物色。ルーマニアは、有名ブランドの靴工場があることもあってか、いい靴が割と安価で購入できるのです。また工場直営とあって激安。兄夫妻はそれぞれ購入し、私はシルバーがかった柔らかなレザーのサンダルを購入しました。このお店で兄夫婦とはお別れ。
私たちは、最後の目的地であるMănăstirea Putna(プトナ修道院)を目指します。途中、ルーマニアの有名なシューズメーカーのファクトリーショップもあったので、立ち寄り夫と私、それぞれ一足ずつレザーシューズをゲット。閉店ギリギリで、お店の片付けを始めていたところだったため、5分程度で買い物を済ませました。また、この工場の付近には、どういう地域か後に判明するのですが、大豪邸が立ち並んでいます。全ての家が巨大な庭、大きな家、フェンス、外車が停められ、一体どんな人たちが暮らしているのかとても興味が沸きました。
目的地のプトナ修道院は、モルドヴァ地方に繁栄をもたらしたシュテファン大公が、自身の墓地として生前の1466年〜1469年にかけて建てた修道院です。これまでご紹介したフレスコ画が施された修道院と違い、外壁から中の教会堂まで、白を基調としたレンガ造の修道院となっています。修道院が完全に完成した直後、残念ながら大家に見舞われ、破壊されてしまいますが、直後とされる1653年〜1662年に再建されました。 壁画がない分、シンプルに見えますが、シュテファン大公、並びに家族の墓地でもあるため、重要な教会の一つとされているのだそう。幸運なことに、トアカと呼ばれる木の板を叩いて、鐘の代わりに礼拝や儀式、時を知らせる姿にも遭遇することができました!
また、敷地内には修道院博物館があり、主にシュテファン大王とその直後の後継者の時代からの中世美術品の重要なコレクションが展示されています。展示では、当時の王族の衣装を始め、戦いの装備品、銀で装飾された歴史書、城に掲示されていたと思われる大きなタペストリーなど、貴重な品々を閲覧することができました。ルーマニアの人々にとって、シュテファン大公が地域に遺したものがいかに偉大であったかも感じることができました。日本で言うと、織田信長や豊臣秀吉のように、誇りを持って語られる重要な人物であると言うことです。また、この場所は修辞学、論理学、文法学の学校としての歴史もあり、その後プトナは国内で最も重要な文化の中心地の1つになったと言います。
ちなみに、教会の外で大きな高級会社の四駆に乗った修道士を見かけました。プトナ修道院の修道士かはわかりませんが、なんだか微妙な気持ちに…。慎ましさを押し付けるわけではないのですが、なんとなくカルチャーショックと言うか、敬虔な信徒や歴史ある修道院を見ただけになんとも言えない気持ちになりました。笑

最後は、ペンションの近くにあるジップライドに挑戦!眺めのいい山の山頂から、森の上を超えるジップライドで、2021年現在、ルーマニア国内最長を誇るのだとか。私の地元、熊本にもいくつかありますが、自然の中を一気に駆け抜けるジップライドに挑戦しないわけには行きません。利用料は12€ほどで、日本だと軽く1万円は超えてしまうのに、その安さにちょっぴり不安が走りましたが、お金を払うとすぐに装備品を装着され、止まりかたなどの指導も、保険の説明もないまま、あっという間に送り出されてしまいました。
体感でおよそ1分。あっと言う間にゴールに到達してしまいましたが、眼下に広がる森を超え、初夏の風を切って走るジップライドはとっても気持ちがよかったです。以上で、初めてのブコヴィナ地方の旅は終わりとなります。今回は、夫がずっと通訳してくれたこともあり、より地域に根ざした場所を訪ね、ルーマニアの新たな一面を知ることができました。また、ペンションのオーナーから、地域の問題や噂話を聞いたり、ニュースを見ているだけ、実家を訪ねるだけでは感じることができない、ルーマニアを体験することができたように思います。冬は特に美しいことで有名な場所なので、また冬に戻って来たいです。















































